『湖降る夜、かなたの塔』を公開しましたので、少し早いですが制作後記を残しておきます。
プレイ後の閲覧推奨です
ゲームジャンルの決定
前々から「いつかノベル形式のアドベンチャーゲーム作りたいな~~」と思っていて
2024年9月に前作 イルシェラートv1.20の公開をもって、今作の構想を練り始めました。
過去のシリーズ作は多くのサブイベントを仕込んであることが一つの特徴でしたが
これを実現するシステムが陰で動いていて、このシステムの目標が”アドベンチャーゲームを不自由なく作れる”。
4作品にわたって増改築を続けたシステムで、イルシェラートまででおおよその完成形をみています。
マップベースの探索型アドベンチャーゲームであれば、このシステムをそのまま移植で簡単に作れるのですが
元々物書きだった血がうずいて「ノベル形式のアドベンチャーゲームがいい!!!」とか言い始めてしまって
テキストの表示周りふくめて大改修を強いられることになりました。
システム組むのも自分なのにね。
システムの大改修と新規構築
これは過去の記事で書いていますので内容は端折りますが
テキストの表示周りと、イベント制御周りに手を入れています。
大改修のわりに手が入っていなくて、後で苦労するわけですが……。
テキストの表示周りの大改修では画面比率16:9対応していなかったので
これを対応させるとともに、ノベル形式のアドベンチャーゲーム用の表示機能を新規搭載。
過去作品のようなテキストウィンドウと、今作のテキストウィンドウ、実は同じコモンイベントで動いています。
フラグをいじれば同じゲーム内で切り替えもできます。
イベント制御周りも、制作途中でコンテンツ実装方法を変更したことにともなって
追加で改造するはめになっています。
数々の改修で、今作のようなノベル形式のアドベンチャーゲームなら作れるようになったのですが
どれだけ改修してもベースは結局10年物のソースなので、遠くない将来限界きて爆発する気がしています……。
シナリオ・テキスト執筆
シナリオの組み方はこれまでの作品と全く同じ、メモ帳で大枠の流れを書きなぐったのちにExcelでイベント案をずらっと並べていくスタイル。
2024年末までにイベント案を書き出し終えて、2025年初めくらいから本格的に書き始めています。
一旦執筆完了したのは2025年3月頭、2か月で4万文字ちょいを書ききっています。
本業の人からしたら超遅いのですが、当社比では過去最速。毎回これくらい早かったらな……。
今作のシナリオ・テキストの方向性としては
①可能な限り設定を削った主人公を用意する
本作の主人公は、名前の設定はもちろん、性別、年齢、その他諸々設定がありません。
もちろん、本作に主人公のセリフは一切ありません。
設定としては(あの街の中では)下っ端魔法使いであること、下っ端ゆえに知らされていないことが多いこと、
身長が170cmくらいであること(アイリスの身長が決まっているので身長を入れる必要があった)くらいか。
設定を削りに削るとシナリオ・テキストは書きづらくなり
広大な余白が生まれるために読み手を選ぶ一方、その余白を許容できる人であれば世界に入っていきやすくなると思っています。
君は主人公に自己投影してもいいし、作中の一視点から世界を覗いているととらえてもいい
……そんな感じ。
②(当然だけど)過去作品と関連付けられるようにする
同じ世界観で書く以上、場所が同じならやらないわけにはいかない。
出てくる単語・用語は前作イルシェラートと共通するように書いています。
今作の主人公は何も知らされていない系主人公だから、今作が初めてでも安心。
これ読んでいて前作のイルシェラートを遊んでいない人はぜひ遊んでみてね。
③可能な限り登場人物は減らす
話を転がしやすい最小限まで登場人物を減らし、名前がある登場人物は2人のみ(内、終盤にしか出ないキャラ1人)としています。
舞台設定の都合もありますし、最小設定の主人公を用意する都合上、キャラを増やすと主人公が空気になりやすいこともあり
登場人物はかなり削っています。
ほとんどの場面では主人公と誰か1人という形で進行するようになっていると思います。
④前向きな話にする
明るくはないけど前向きな話になっている……と思います。過去作品すべて前向きな話として書いていて、例にもれず今作も前向きな話。
何が起きても、今自分が生きているのなら明日も生きよう
そんな感じのメッセージが入ってます。
1年以上前の自分が書いたテキストをテストプレイ中、「(当時の自分)病んでんの??」と思いながら何度も読み返していました。
今の自分には今作の序盤の雰囲気は書けないかもしれないね。
ずっとやっていることですが
強い言葉は排して、固有名詞以外のカタカナも可能な限り排するという執筆スタイルなので
文章の質感はわりと独特かもしれません
演出について
元々は無音でテキストを表示するスタイルにするつもりだったのですが
さすがにそれはゲームとしてどうなの? と思い(過去類似事例を見ていくとBGM無しってハードル高いのよね)
BGMや環境音を入れています。
過去作品比で、音量はかなり落としています。
音量の大きさとテキストの飲み込みやすさは反比例すると感じたための演出です。
なお昨今、アドベンチャーゲームというと結構ビジュアルで魅せるゲームが多いんかなと思いますが(配信・SNS映えもするしね)、
テキストが主であってビジュアルは従、世界に入るための補助として入れるものと位置付けて
ほぼメインビジュアルのみを使う形にしています。
まあ自分が石油王だったら、もうちょい増やしているとは思いますが……。
ボイスについて
今作、初めての試みとしてボイスを実装しています。
テキスト分量としては、地の文8割・セリフ2割で、そのセリフ2割の半分が魔法人形のアイリスのセリフ。
4000文字ちょっとです。
ボイス実装については実装する方向で考えつつも、かなりギリギリまで悩んでいました。
自分が欲しいだけなので出費については全く気にしていなかったのですが
元々ボイス実装を考えずにテキストを書いていた都合上、テキストと合うのかという問題
誰に依頼するのかという問題、
依頼するとして間に合うのかという問題……。
いろいろあったのですが、エンディングまで通せる状態まで持っていって
公開予定まであと1か月半という状況、
実装期間を考えると超ギリギリなのですが、悩み続けてもやってみないと分からないことなので
依頼することにしました。
依頼したことなかったので、かなり手探り状態で、あまり資料多いとそれはそれで大変だよな(前後の文章を渡すこともできた)
……などと要るのか要らんのかわからない気を回して、セリフのみの台本を渡していたのですが
イメージ通りの雰囲気で声をあてていただけてかなり助かりました。
今後はもうちょっと資料用意したいところですが……。
実際に組み込んでテストプレイしてみたときの感動たるや、
声の力ってすごいんだなとあらためて、実感しました。
今作並みのセリフ量なら迷わずフルボイスにしてもいいなと思っていますが
過去作並みの文字数をフルボイスにすると単価次第ではひと月の生活費以上の金額になってしまうので
それはまた追々考えていこうかな……。
パートボイスにする理由もわかります。
今作より企画・制作のクレジットが変わりました
過去4作品は、企画・制作 わたえもん として公開していましたが
今作からは、企画・制作 わたっけ として公開していきます。
いくつかオンラインのイベントに参加する際、サークル名を求められるのですが
サークルではなく個人だったので、やむなくテキトーな名前を入れていたところを、
今作以降はサークル名:わたっけ というかたちでやっていきます。
(Twitterのプロフィール欄からゲーム制作の看板を下ろして「テキスト書いています」にしたのは
そういうこと)
サークル名もブログ名をそのまま使っていくだけですけどね、
この名前ももうだいぶ長いのでこれしかないかなと思って。
今後はサークルとして動いていきますので
(外注するという意味では)やれることも増える……かな? と思います。
名義かわったとはいえ、投稿サイトのアカウント変えると面倒くさいので
こちらはそのままわたえもんのままですし
ゲームの核になる、システム・シナリオ・テキストは変わらないので
相変わらず同じ世界観で作品を作っていきます。
長くなりましたが話しておきたいことは話せたので
次は8月中のどこかで更新します。
次の作品の構想も練っていきたいですね。



